原発、トイレの詰まり、豚キムチうどん、ヴァイオリン。

地震・津波から19日目。テレビをつければ、被災者の近況よりも、まずは原発のことがトップニュースになっているこの頃。

雑誌やネットで色々な情報を拾い読みしているうちに、「震災対応で政権浮揚をもくろむ菅首相が、何でもかんでも自分で仕切ろうとし、結局、事態を悪化させてしまった」というのが真実らしい…ということが分かってきた。

「3月11日に地震があって、すぐに東京消防庁は、気仙沼や、千葉で燃えた石油コンビナートに向かいました。本来は知事の要請があってから動くのですが、要請を待っていたのでは間に合わないかもしれない。そこで、とりあえず向かわせて、知事の要請を待ったのです。福島原発にも向かいました。ところが、いわき中央インター付近まで行ったところで、総務省消防庁から『来なくていい』という連絡が入った。やむなく消防隊員は引き返したのです。」「東京消防庁は自治体が管轄する。自治体同士には横の連携がある。だから、千葉や福島でも活動ができる。阪神大震災以後、取水口の口径も全国統一されて、どこでも消火活動ができるようになりました。しかし、原発は国の管理になる。そのため、まずは自衛隊や警察が出ることになったのでしょう。」…というのは、東京都副知事・猪瀬直樹氏の言葉。それだけではない。アメリカやフランスが支援を申し出てくれた時に、スピーディーに受け入れていれば別の展開があったかもしれないのに、“外国に知られたくない何か”があったのか、断ったりなんかして。(なのに、結局後から泣きつくようなこともしてみたりなんかして。)

未曾有の災害を、“総理の椅子の死守”や“縄張り争い”のために利用しようとした男。けれどもやり方があまりにも稚拙で、やることなすこと失敗し、傷口を広げてしまった男。よりによって、こんな時に、そんな器の小さい男が首相だったとは…。これじゃ、国民は命がいくつあっても足りないだろうっての。

もう、東京電力や官房長官が記者発表することなんて、たいして興味が無い。「事実と異なることを言う」ことだけが嘘じゃない。「言うべきことを言わない」のも嘘の一種だと思う。そういう意味において、彼らはちょっと嘘が過ぎると思うから。海外メディアの情報を拾ってきたほうが、よほど納得のいくことが書いてある。

このまま日本はどんどん汚染されていくのかな…と思うと、ついつい斜に構えたくなってしまっていた。ACの一連のCMが綺麗事ばかりで薄っぺらく見えて、「けっ、くだらない…」と思ったり、そのCMのせいで金子みすずの詩集がバカ売れしていると聞けば、「…とことん呑気でおめでたい国だなここは…」なんて思ったり。

自分のスタンスというか、軸足の置き方を、どんなふうにしたらいいのか、先週まではよく分からなかった。いろんな人々(特に、今回の地震の影響を受けなかった地域の人々)の物言いに、「そりゃーこのへんは被災地じゃないけど、それでも不安や不便でじわじわと弱ってる人間はいるんだから、安全で便利のいい場所から偉そうな講釈をたれないでほしいんだな…」とか、「アナタは無事で幸せでようございましたね。だけど、能天気な幸せ自慢は私たちの目につかないところでやってもらいたいのよぶっちゃけ…」などと、ナーバスになっていたこともあった。地震の日以来ずっとおなかを下したままだったし(おとといあたりから治まってきた)、地震酔いもあったので、やはりストレスが溜まっていたのだろう。

でも、2~3日前から仕事が元通りのペースで忙しくなり、それに引っ張られるかのように気持ちが開き直ってきたように思う。「結局、現実的には、ここに住んで、仕事をして、生きていくしかないんだ」と。5年先、10年先の日本がどうなっているのか、自分や家族の健康状態がどうなっているのか、そんなことは分からない。そのことばかりを考えていると、不安で悲しくなってしまいそうだ。でも、「今日、働かなければ、来月の家賃も食費も払えないのだ」ということ。それが、今の私にとって、一番確かな事実なのだ。近視眼的と言われようが、「考えるのをやめたのかなコイツ」と思われようが、そうやって日々を生きていくしかないのだ、我が家は。(もちろん、ずいずいの免疫力を多少なりとも上げておくために、栄養バランスにはこれまで以上に気をつけていくつもりだけど。)

原発のことは、もう、静かに祈りつつ推移を見守る…というスタンスで行く。TVのニュースは信用してないし(関東地区のTV局は、どこも、東電がスポンサーのニュース番組を持っているんじゃなかったかな、たぶん。それに、日本広報学会の会長は東京電力の社長だし)、ネットや専門誌で専門家さんたちが議論している内容は、理系に弱い私には難しくてよく分からないことがいっぱいある。もう、調べたり暴いたり糾弾したり…は、よく分かってる人たちに託す。私のようなド素人が気を揉んでも何の役にも立ちそうにない。

理系の有識者や現場の作業員の方々は、今、この瞬間も、原発と闘っていることだろう。自衛隊や消防や警察の方々は被災地で困難な公務にあたっている(被災地に行かない方々は、それぞれの地域で手薄になった分の業務を背負って休む間もなく働いていることだろう)。私は、そういう場で役に立つような頭脳や知識も、屈強な肉体も持ち合わせていない。だから、とりあえず今は、自分を信頼して仕事をまわしてくれる人たちに応えて、日々の仕事を誠実にこなしていこうと思う。多少なりとも消費購買活動が活発になるように、それから、心ある生産者が風評被害に傷めつけられるのを少しでも防げるように、頑張って文章を書いていこうと思う。そうやって稼いだお金で、これまで通りずいずいを育てていくのだ。少なくとも、日本が滅びないうちは。被災地には親しくしている食品メーカーや農家の方々が多いので、彼らが復興する際にお手伝いできることがあれば、労を惜しまず協力するつもり。

今日は、早朝に原稿を1本仕上げた。その後、島忠(ホームセンター)にキコキコと自転車で向かい、ラバーカップ(トイレの詰まりをカッポンと直すやつ)500円也を買ってきて、トイレの詰まりを直した。お昼には豚キムチうどんを食べた。そして午後もまた原稿を書き、おやつの時間にはずいずいと一緒に苺を食べ、さっきはずいずいのヴァイオリンの練習につきあった。……こんなふうに、ちまちまと、生きていく私。

10年先も、日本が元気でありますように。ずいずいが健康で、大学の学内オケかなんかでヴァイオリンを弾いて機嫌よく暮らしていますように。「ママ、もっといいヴァイオリン買ってよぉ」「バカ言ってんじゃないよ、バイトして自分で買いなさいっての。それがイヤならパパに頼むんだね…」などと呑気な会話が出来る毎日でありますように。「自衛隊予算使い過ぎだろ」「消防士って火事がなきゃ暇なんだろ?」「おまわりマジうざい」…なんて、一般市民が気兼ねなく公務員の悪口を言えるような日々が、またやって来ますように。

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この記事へのコメント

ムトウ
2011年03月29日 18:30
大人たち全員が、自分がやるべき仕事をそれぞれの場所で誠実にやっていくことが何よりも大切な時だと思います。地震でビビって容疑者を大量に釈放してしまった福島県の検事たちは、猛省していただきたい。日本国民全員がテレビやネットにはりついて原発のことを心配していてら国が破綻してしまいます。被災地に心を寄せつつ、原発に注意を払いつつ、僕らが日々を取り戻すことが何よりも肝要と思っています。

それから、頑張っておられる公務員の方々に、以下の文章を。吉田茂 (昭和32年2月、防衛大学第1回卒業式にて)

「君達は自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。きっと非難とか叱咤ばかりの一生かもしれない。御苦労だと思う。しかし、自衛隊が国民から歓迎されちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡の時とか、災害派遣の時とか、 国民が困窮し国家が混乱に直面している時だけなのだ。言葉を換えれば、君達が日陰者である時のほうが、国民や日本は幸せなのだ。どうか、耐えてもらいたい」
つーじい
2011年03月29日 19:23
原発怖いね。だけど、これは、多くの日本人の無理解~いや、無関心だな~無関心が招いた結果なのだと思う。もっと真面目に原発反対派の声に耳を傾けるべきだった。

そんな恐怖を感じながらも、朝になれば会社に行き、簡単な浄水器を通しただけの水道水で珈琲を飲み、トイレが詰まったらパッコンして、日常を生きていかねば暮らしは成り立たぬ。

先のことは分からないけど、機嫌よくいたい。
モモ
2011年03月29日 23:57
ほんとにそうです。
私も春休みがあるとは言え、地震後も塾は開けていたので、今も忙しくしています。停電中は多少なりとも不便はありますが、なんとかやってます。
それもこれも生活のためですもの。年度末を迎え、もう新しい年度が始まりますね。
私は頑張って英語教えます。
かれん
2011年03月30日 00:03
当たり前の生活を当たり前に続ける。
難しいけど大事なことですよね。

ただ、無能な政治家をトップに据えるととんでもないことになってしまうことだけは、皆さん忘れないで欲しいものです。
統一地方選、本来なら延期して欲しいけどこの辺は予定通り行われます。
ドサクサに紛れておかしな政治家を当選させないようにすることは、やっぱり大事だと思います。
冬将軍
2011年03月30日 00:32
SF小説ではありますが、生きる上での心構えのようなアドバイスを色々と知ることが出来た小説のアニメ版を見ていて、コレは良いと頭の片隅に置いている言葉があります。

「手の届かないところのことをいくら心配しても、それで腕が伸びるわけじゃない。」

「ダメなものはダメ、手の届かない所のことを心配しても手は伸びぬ、やりたいやつに任せればいいのさ。」

今の場合は決して「やりたいこと」では無いでしょうけど、原発の復旧も、街の復興も、しかるべき人達が、それぞれのやるべき事をする他は無いこと。

生活が出来る人は、政府や経済、物資輸送の邪魔にならないように、心がけて暮らしていく他にやるべき事は無い。
節電と募金ができれば、もう十分だと納得しましょう。

身近に居る人に注意して上げることの方が、今は大事かと。
風邪を引かない、事故を起こさない、まとめ買いしない。それだけでも十分だと、私は思いますよ。

特に今の世の中は問題が起きた時に、自己解決能力の低い人達が多すぎるのでね。
さち
2011年03月30日 12:44
ムトウさん

吉田茂元首相のこの話、今回、被災地に自衛隊が向かってから、あちこちで話題に上がっていますね。これを読んで発奮した自衛官は多いことでしょう。私なんてヤクザな自由業者ですが、最初に読んだ時は泣けてきましたもん。
さち
2011年03月30日 12:48
つーじい

そうだね。東電バッシングすごいし、叩かれても仕方ないんだけど、原発について一部の真面目な人たちが必死に活動して危険性を訴えていた時に、「あー、なんか一生懸命やってるねぇ…」とスルーして来ちゃった自分たちにも、いくばくかの責任はあるんだろうなぁ。
さち
2011年03月30日 13:01
モモちゃん

明日で3月も終わり。もうすぐ新学年ですね。この状況で遠くまで登校させるのはまだ少し不安だけど、漠然と怖がるのじゃなく、「こういう場合はこんなふうに対処しようね」と家族間で打ち合わせて、減らせるリスクは減らして臨みましょー。

そろそろ夜型生活も修正しておかなくては。
さち
2011年03月30日 13:06
かれんさん

かつてないほどの緊急時に、かつてないほど稚拙な内閣。日本史上、忘れられない年になりますね。

首相にも閣僚にも腹が立つんだけど、あの時、目先の子ども手当てに惑わされて民主党を圧勝させた有権者1人1人は、今、どう思っているんだろう? そんな人々が他人事のように政府を批判してるのがまた腹立たしい。
さち
2011年03月30日 13:12
閣下

自分が動けるフィールドで具体的に動く…ということですよね。

都内にある、宮城県の物産を売るショップ、品薄気味にも関わらず、主婦が大勢買い物に来て賑わっていました。たとえばそういうことなんだろうと思います。