上等フライパン

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18歳で実家を出て上京した時に、小さなフライパン(オムレツパン)を買った。20歳で寮を出て1人暮らしを始めた時には、鉄製の北京鍋を買った。以来、30歳になっても40歳になっても、大きめのフライパンを買う機会がなかなかなくて、その2つを使いまわしてなんとか料理をしていた。でも、ステーキだの魚のムニエルだのを焼く時にはやはり使い勝手が悪く、いいフライパンが欲しいな…と思っていた。

おととし、仕事で取材したことがきっかけで、40代にしてようやく入手したフライパン。「上等フライパン」という名前がついているもので、及源鋳造(株)という南部鉄器のメーカーが作っている。( http://www.joutou.com/merit.html )

フッ素樹脂加工のフライパンは確かに焦げ付かなくて便利だけど、「何を調理してもいまひとつ熱の通りが甘いようで、美味しくない」「コーティング剤の毒性が気になる」という人も多いと思う。

仕事で、よく、調理道具研究家で『料理のきほん ~食の常識』( http://www.graphsha.jp/dbf/profile.cgi?key=b0338&label=11&tpl=../books/index )の著者でもある岡山晄生(おかやまあきお)さんとご一緒するのだけど、岡山さんに繰り返し繰り返し教えられてきたのは、「料理は、“火”でなく“熱量”でするもの」だということ。フライパンや鍋自身が温められて、たっぷりの熱を蓄え、その熱量で調理することが、美味しく仕上げるための基本中の基本なのであって、そのためには、きちんと熱を蓄えることが出来るような素材の鍋を選ばなくてはいけないのだそう。(ル・クルーゼのような重い鉄鋳物の鍋で煮込み料理をしたことがある方は、なんとなくそれが実感できているはず。) 

「調理には、基本的に、強火は使わない。フライパンや鍋自体がたっぷりと熱を蓄えていれば、どんな素材でも中火~中強火で十分」 「よく、“中華料理は強火で”と聞きかじった主婦が、中途半端な知識で強火で炒め物をしているが、あれは間違い。炒め物は、“火の強さ”ではなく、“たっぷりの熱量で”調理することが大切。フライパンを十分に熱くしてから調理を始めるのがコツ」 「フッ素樹脂加工のフライパンというのは、食材を美味しく調理する温度に達する前に、フッ素樹脂が溶け始めてしまう」 などということも教えていただいた。(フッ素樹脂加工のフライパンは、弱火で調理するクレープやホットケーキなどには向いているらしい。)

南部鉄の鉄鋳物のフライパンだから、滅茶苦茶重い。フライパンをゆすってオムレツを空中でくるん…なんていう芸当は、このフライパンでは無理(手首の腱鞘炎を起こしそう)。でも、しっかりと熱してからジュッ…っと焼くと、皮つきのチキンなんて、「外はパリパリ、中はジューシー」に仕上がるし、焼くのが難しかった餃子もなかなか美味しく焼ける(少し焼いてから水を加えて蒸し焼きにする時、水を加えても温度が急激に下がらないのがいいのだと思う)。重くて分厚い鉄器だからこそ、こういう仕上がりが得られるのだと思っている。

このフライパンを使い始めて1~2カ月たった頃、「なるほど、“火の強さでなく熱量で調理する”ってのはこういうことか…」ということが実感できるようになった(ル・クルーゼを使った時より、もっとハッキリと)。良い道具というのは、そうやって料理の腕前を育ててくれるものなんだろう。鉄のフライパンは錆びやすいというイメージがあるけれど、900℃で1時間ほど窯の中で焼く特許製法で、錆びにくく焦げ付きにくいフライパンになるのだそうで、錆びや焦げに苦しんだことは、今のところは無い。鉄製でなんのコーティングもしていないから、鉄分の補給にも若干は役立っているのかも?

ところで岡山さんは、「リバーライト」という、プロの料理人にも愛用者の多いフライパンメーカーの社長さんでもある。( http://www.kodawariyasan.com/river/r&l.htm ) 50代や60代になって、鉄鋳物の重さがどうしても苦痛になってきたら、次はリバーライトのフライパンを使ってみようと思っている。上等フライパンは何十年でももつらしいから、別のフライパンを買ったらずいずいに譲ってあげるつもり。あ、その前に、まず、小さいオムレツパンの方をリバーライトのに買い替えてみよう。

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この記事へのコメント

ハム子
2010年03月27日 09:40
昔、チタン製のフライパンを買ったことがあるわ。
でも何だかイマイチでした。高かったのに(涙)
鉄製の中華鍋も持ってたけどメンテが面倒臭くなっちゃって放っておいたらサビちゃったの。
それ以来フッ素加工ばかり・・・

さちさんの日記を読んで、また時間も出来たことだし、
質のよいフライパンを購入してみようかなって気になりました♪
美味しく料理が作れれば食材も人間も喜ぶよね、きっと。
ムトウ
2010年03月27日 09:51
うちのヨメは、高くてカッコいいフォションのフライパンを台所に飾り、実際の料理はスーパーで買った安物のテフロンのフライパンでやります。炒めものがべちゃっとしてますよ。あれはフライパンの問題なのか料理の腕の問題なのか?

そしてご指摘の通り、「炒めものは強火」を真に受けて、しょっちゅうテフロンをダメにして買い換えてます。あれは、コーティングが溶けてたわけですね。それを食わされてたってことか…。
さおさお
2010年03月27日 10:50
あ、あたしも数年前にフライパンと鍋を、セットで購入したのよ。
無水鍋ね。

すごく高くて、めちゃめちゃ勇気を振り絞って、買ったんだけど、今のところ、全く後悔していません。
その鍋も強火厳禁です。
先に十分熱を加えてからの調理です。
同じだね。
やっぱり、良い鍋は、使い方も大切だね。
あんこ
2010年03月27日 15:41
ル・クルーゼのオーバル真っ赤鍋を、強火で空焚きしダメにしたあんこです(泣)
そして私、この本持ってるー!と思ったらいただいたんだわ。
某食材宅配屋さんにー(笑)
我が家も無水鍋&鉄のフライパンだわ。
実母の選択です。
でも実母、強火大好きなのよ。
選択肢は正しいのに、使い方は激しく間違ってるじゃんよ。
さち
2010年03月27日 22:57
ハムっち

たとえば、千円の包丁を10年間毎年買い換えていくのと、一万円の包丁を手入れしながら10年齢使い続けるのと、かかるお金は同じじゃない? でも、一万円のいい包丁を使ったほうが料理の腕が上がるし、美味しく仕上がるような気がするの。モノが人を育てるって、あるよなー、って。
さち
2010年03月27日 23:01
ムトウさま

フォションのフライパンって、もしかして銅製の超高級品では!? ひーっ、なんてもったいない! プロの料理人さんたちは、「最終的には、鍋はアカ(銅)にいきつく」みたいなことを言いますよ。

テフロンのフライパン、捨てちゃえば?(怒られるかなぁ…?)
さち
2010年03月27日 23:10
さおっぴ

無水鍋、羨まし~! 高いんだよな~。有元葉子さんのレシピが好きなんだけど、彼女のお料理って無水鍋を使うものがけっこうあるの。いつか使ってみたいなって思ってます。いいお鍋は、高くても、10年、20年…って使っていけるから、必ず元手はとれるよね。
さち
2010年03月27日 23:24
あんこちゃん

ルクをダメにしただなんてもったいない~!

オーバルうちにもあるけど、日本の家庭料理には使いにくいね。アクアパッツァとか、なんちゃってパエリアの時くらいしか使ってません。使用頻度は圧倒的に普通の丸型(ココット・ロンド)の方が上になっちゃってます。鉄鋳物のお鍋、ルクと同じフランスのメーカーで、シャスールっていうメーカーのもなかなかいいみたいよ。

岡山さんの本は、これまで感覚的にしか語られてこなかった料理のあれやこれやが、誰が読んでもすっと分かるようになってると思うの。簡単な理科の本みたいな感じ。
shima
2010年04月05日 06:00
はじめまして。突然のコメント、失礼いたします。
私は娘の小学校受験を考えております保護者なのですが、受験関係の検索でさちさんのブログが偶然ヒットしてから時々お邪魔しております。
冷静にしっかりとお子様の教育を考えられている方という印象で、お勧め書籍など参考にさせて頂きました。

と・・・お話は変わりますが、私も3年ほど前にテフロン製品をやめ、鍋関係を一新したのでこちらの記事は興味深く拝見しました。
鉄のフライパンで「魔法のフライパン」はご存知でしょうか?
以前大分話題になりましたが、鉄なのに軽さもあり見た目もシンプルでとても美しい品です。
注文から2年弱待ちましたが、とても使い勝手が良く、我が家で一番の働きモノとなっています。
(他の鍋は、シリットのシラルガン、ストウブです。)
機会がありましたら是非見てみて下さいね。
それでは長々と失礼いたしました。
さち
2010年04月05日 21:12
shimaさま

はじめまして。コメントありがとうございます。「魔法のフライパン」、メーカーのHPを見てみました。球状黒鉛鋳鉄という素材で出来ているのですね。軽さがすごく魅力です。お肉を一度焼いてみると、フライパンの底力ってだいたい分かりますよね。このフライパンでお肉を焼く時の様子が見てみたいなぁと思いました。

お嬢さんがこれから小学校受験なのですね。うちは、早いもので、入学から丸2年、受験シーズンからは2年半近くもたってしまいました。仕事のあいまに教室に送迎したり自宅で勉強させたりという日々は慌ただしくもありましたが、今振り返ってみると、娘と濃密に向きあうことができた貴重な日々だったとも思います。「季節の行事や食材をもっと取り入れなくちゃ」とか「あ、まだ、お箸の使い方が不十分だな」というように、子育てのマイルストーンとしても役だちました。どうぞshimaさんも、お嬢さんとの時間を楽しんでくださいね。
RobertPt
2014年09月06日 05:52
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