日々是まぁまぁ好日 (再び)

アクセスカウンタ

zoom RSS 山森樹さん、安らかに。

<<   作成日時 : 2011/10/29 14:34   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 12

画像

神奈川県三浦市「山森農園」の代表者・山森樹(たつる)さんがお亡くなりになりました。農作業中の不慮の事故だったそうです。まだ50代。残念でなりません。

つい先日、プライベートで三浦に出かけた時に、山森さんのことを思い出していたのに、連絡はしないままでした。毎年、11月初旬には、山森さんの野菜が入った“お正月野菜セット”のコピーを書くから、どうせまたすぐに連絡を取り合うことになるんだし…なんて思っていたから。バカな私。


農家の一人息子として生まれ育った山森さんですが、若い頃は弁護士を目指していて、高校や大学では農業とは無関係の勉強をしたのだとか。が、26歳になった時、その道を断念し、家業を継ぐことを決心。「結果的に農業をやることになったからには、人と違ったことをやらなくちゃ…と思いました。18歳から農業をやっていたら、26歳になる頃には一通りの技術は身についていたはずなんです。僕はそんなものは何もない、ゼロからの、いや、むしろマイナスからのスタートだったわけですから、人と同じことをやってもしょうがないだろうという気持ちがありました。そうじゃないと、大学に6年も通って勉強してきた時間が無駄になってしまうと思ったんです。」 去年、取材させていたいた時、そんな話をしてくださった山森さん。

「実家では、父の代から、障害のある方々に農作業を手伝ってもらっていました。一人息子が26歳まで家の手伝いをしないで自由にさせてもらえたのは、彼らのおかげだったんですね。農園という場所で、障害のある子たちが仕事を覚え、経済的に自立していく姿を見ていましたから、自分が農園を経営していくなら、そういう面をもっと発展させたいと思いました。」

「目指したのは、農業を通じての社会貢献と、企業的な農業経営でした。障害者を雇用して彼らの自立を支援すること。人を常時雇用するためには、農閑期を無くし、年間を通して仕事を作り出すこと。農協に頼らず、自分たちで売り先を見つけて契約栽培を行うことで、安定した経営を目指すこと。」

「三浦の農家は、秋から春の大根とキャベツが主体。その2つを生産すれば、家族経営の規模なら食べていけるんです。でも、それだけでは人を雇用できないから、ニンジンの生産に挑戦してみようと。ニンジンはなかなかデリケートな作物で、うまく作れるようになるまで時間がかかりましたけど。」

「ガンガンと栄養を吸収している成長期にあせって収穫しちゃうと、どうしてもエグ味が出るんです。どんなに良い堆肥を使っていようがね。人間もそうでしょ。人間でいう“円熟味を増す頃”っていうのが、ニンジンにもやっぱりあるんです。」

「自分たちはプロだという誇りは大事だけど、そこにアグラをかいちゃいけないんですね。やっぱり、どんなにベテランになっても、お客さんの声に謙虚に耳を傾けることが、美味しいものを作り続けるには不可欠だと思ってます。」

「農業に限らず、仕事というのは、最終的には人がすべてです。人を育てながら、自分も育っていかないといけない。給料払ってるんだぞ、社長なんだぞ…っていうのではダメですね。若い人も含め、みんなでいろんな意見を出し合って、刺激し合って、楽しくやっていく職場は伸びますよ、やっぱり。」

収穫量・品質ともに、山森農園の人参が神奈川県でNO.1と言われるようになるにつれ、農園には、障害者だけでなく、農業を学びたいというたくさんの若者が研修生として集まるようになりました。そんな研修生たちの未来のためにと、2009年には東京・高円寺に八百屋さんを開店。「ちゃんとした食材で、ちゃんとした料理を出す店なんてのも、将来的にはやってみたいんです。うちじゃ、“居酒屋計画”って呼んでるんですけど。畑に行かないでそこに入り浸るようじゃマズいんですけど(笑)」

「自分と関わる人が、農業と言うステージを通して連携をとりながら、……なんか話が大げさになっちゃうけど、人間が人間として住みやすい環境を作っていくっていうのかなぁ、そういう仕事をしていきたいと思いますね。この農園だったり八百屋だったりが、その拠点になってくれればいいなと。それで自分も生活していけるなら、そんないい人生はないだろうと思ってます。」



ご冥福をお祈り致します。合わせて、山森スピリッツを受け継いだ多くの若い農業生産者の皆さんのご発展をお祈り致します。

携帯電話の電話帳に登録してある、山森さんの電話番号とメールアドレスが消せません。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
山森さんのご冥福を私も共にお祈りします。

まだお若いのにこれを読んでいたら無念でなりません。

斬新なアイデアや志、どれもすばらしいものばかりです。

心に留めておきたいな、そう思った言葉がたくさんありました。
モモ
2011/10/29 20:03
農作業中に亡くなってしまうほどの事故が起きるものなのですね。のどかで安全なお仕事だという思い込みがありました。

本当に、まだお若いのに残念です。一番びっくりして残念な思っているのは御本人ではないでしょうか? 突然のことで、ご遺族や従業員の方々もショックが大きいだろうと思います。でも、せっかく山森さんが積み重ねてきたお仕事ですから、他の方々が大切に受け継いでいってほしいですね。

以前、テレビで、山森さんのにんじんジュースが紹介されてるのを見たことがあります。えぐみがないなら、にんじんが苦手なうちの娘も飲めるかもしれません。
ももたろう
2011/10/29 22:28
リーダーにカリスマ性や強烈なリーダーシップがあればあるほど、そのリーダーが突然いなくなったとき、残された方々の戸惑いは大きいですね。でも、個人の掲げた理想を実現するべく、メンバーの方々には頑張っていただきたいと思います。
ムトウ
2011/10/30 11:46
モモちゃん

有機農業って、土づくりをするのに何年もかかるでしょう? 短気じゃなくて、じっくり構えて待つことの出来る人に向いている仕事なのかも…と、成功している有機農業化の方々にお会いするたびに思います。そういう人は、人や組織を育てるのも上手なのかも。

それにしても残念です。
さち
2011/10/31 09:24
ももたろうさん

ご病気で徐々に…ではなく、突然の事故でしたから、お仕事の引き継ぎのこともまだまだ考えてらっしゃらなかったのではないかと思います。後を引き受ける方々は本当に大変でしょうが、残された皆さんの手で山森農園が存続できるよう祈っています。
さち
2011/10/31 09:27
ムトウさん

山森さんは、農業の技術だけでなく、経営の理念とか組織をまとめるコツなども、何らかの形でお弟子さんたちに伝えていたはずだと思うんです。山森農園で研修した後、独立して、全国でそれぞれの農園を経営していらっしゃる方々が何人もいらっしゃるので、そういう方々のサポートもあるのではないかと期待したいです。
さち
2011/10/31 09:30
山森樹の次男のあおきと申します。ブログ拝見致しました。あまり父から仕事の話をされたことがなく、こうして亡くなった後に父の生きた姿を知ることに後悔するばかりですが、ブログを拝見し、生前私が見ることができなかった父の姿を見ることができました。ありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。


あおき
2011/10/31 23:02
あおき様

初めまして。まだまだ落ち着かず慌ただしい毎日でしょうに、ご丁寧にコメントを残してくださって本当にありがとうございました。

出来れば、山森さんからご紹介いただく形で、あおきさんとのご縁がつながれば良かったのに…と、どうしても思ってしまいますが、“山森さんがくださったご縁”と考えることにします。

私は、日本語学校で教師として2年、有機農産物の宅配をする会社で7年半ほど働いた後に独立し、今はフリーのコピーライター・広告プランナーとして仕事をしております。前職のルートから、いまだに有機農産物や食品関係の仕事を多くやらせていただいています。今後、私でなにかお手伝い出来ることがありましたら、どうぞお声掛けください。山森さんにご丁寧に対応していただいた御礼が出来ればと思います。後日、改めて、お手紙と名刺をお送りさせていただきますね。

突然のことで、ご家族の皆様も大変でしょうが、どうぞお体に気を付けてお過ごしください。本当にありがとうございました。
さち
2011/10/31 23:23
あおきさんがこちらのブログにたどり着かれたということは、お父様のお名前を検索して、これまでのお仕事や功績をご覧になっていたということなのでしょうね。そのお気持ちに、強く感銘を受けました。自分も、我が子に親父の足跡を恥じることなく見せてやれる親になりたいと思います。
ムトウ
2011/11/01 09:37
ムトウさん

私も同じことを考えていました。ご葬儀や初七日でお忙しい中でも、お父様の足跡をたどってらっしゃったのだな、と。
さち
2011/11/02 19:47
さち様
ムトウ様

父に対してこのような記事・コメントをいただいたことを忘れません。亡くなったことで美化しすぎるのも良くはありませんが(もちろん被害者意識になってしまうのも)、このような記事を読ませていただけたことで私の父親に対する思い出はより強いものになりました。私は大学卒業後、横浜港で海運の仕事をしており、農業とは別の仕事をしております。ちゃらんぽらんな私に比べて堅実な兄が現在実家におります故、ぜひまたいらっしゃってください。私も最大限実家を手伝います。私も今年で26を迎えるので、父の死を無駄にしないよう、志を大切にしていきたいと思います。
PS.申し訳ございません、母にも僭越ながらこのブログ紹介させていただきました。
あおき
2011/11/04 23:51
あおき様

再度のコメントありがとうございます。

お兄さんが畑にいて、弟さんが海にいるのですねぇ。横浜は本当に素敵な街なので、横浜港を毎日眺めながら通勤できるのは羨ましいです。

お母様に文章を読んでいただくなんて、なんだか緊張してしまいます…。 少し落ち着いてきた今頃が、どっと疲れが出る時期だと思いますので、どうぞご自愛くださいと、あおきさんからもお伝えください。

あおきさん、よろしければ、また、気が向いた時にふらりとお立ち寄りくださいね。
さち
2011/11/05 22:24

コメントする help

ニックネーム
本 文
山森樹さん、安らかに。 日々是まぁまぁ好日 (再び)/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる